共同代表理事挨拶
日本は、世界に類を見ない速度で進行する高齢化、増大する医療費、そして医療従事者の深刻な不足、医療機関の経営環境の悪化という複合的な課題に直面しています。これらの課題は、国民皆保険制度の持続可能性を脅かし、医療サービスの質とアクセス性にも影響を及ぼしかねない喫緊の懸案事項です。しかし、健康医療情報が持つ無限の可能性を最大限に引き出し、その活用を推進することで、個人にとっては、未病・予防による生涯を通じた健康の保持を実現し、結果として日本の医療と社会をより良い方向へ導くことができると確信しています。
私たち「健康医療情報が拓く未来会議」は、「健康な日本」の未来像を描き、その実現に向けた具体的な戦略的ロードマップを提示することを目的としています。
この度、2025年6月11日に一般社団法人として「健康医療情報が拓く未来会議」第1回総会を開催し、新たなスタートを切ることができました。これもひとえに皆様のご支援ご協力の賜物と、心より御礼申し上げます。
会議の目的達成のため、制度設計やシステム基盤の構築といったデータ活用のための環境整備から、実際のデータ活用までを包括的に行っております。医産官学民の多様なステークホルダーとの連携を通じて、様々な活動を展開してまいります。
今後は、医療機関が保有する臨床データや個人のPHR(Personal Health Record)データ等を連携させることで、未病、重症化予防の効果を定量に検証する実証実験や、住民のニーズに基づいた利便性と安心感を兼ね備えた豊かな地域健康医療情報社会の実現を目指してまいります。
同時に、国民の皆様の理解を深め、安心・安全を確保するための取り組みを強化してまいります。特に、データの二次利用に向けた環境整備や、PHRデータの整備・普及を推進し、患者様(生活者)の情報アクセスとユーザビリティの向上に努めてまいります。
また、本会議では、医療イノベーションの推進、国民的合意形成の促進、健康医療情報の新たな活用方法を検証する実験の推進、そして政策提言を行ってまいります。
「地域モデルから日本モデルへ」を構築するため、全国レベルでのデータ連携基盤の構築、データ活用のための環境整備、そして地域モデルのベストプラクティスの全国展開を目指します。
皆様のご理解とご協力を賜りながら、国民皆保険を守り、健康医療情報が拓く豊かな未来社会の実現に向けて、全力で取り組んでまいる所存でございます。
今後とも、ご支援ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
一般社団法人 健康医療情報が拓く未来会議
共同代表理事 横倉 義武(よこくら よしたけ)

経歴
1944年 | 福岡県生まれ。久留米大学、ドイツでの臨床経験を経て、ヨコクラ病院(現・社会医療法人 弘恵会)理事長に就任、現在に至る。 医療現場での豊富な経験を基盤に、日本および世界の医療政策にリーダーシップを発揮してきた。 |
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日本医師会会長として (2012年~2020年) |
4期8年にわたり第19代会長を務め、日本の医療の舵取り役を担う。特に、国民の健康と医療制度を守るため、以下の課題に尽力。 |
制度改革の推進: | 社会保障と税の一体改革や、地域医療構想・医師の働き方改革といった日本の医療の根幹に関わる改革を主導。 |
国難への対応: | 新型コロナウイルスのパンデミックでは、全国17万人の医師を牽引し、医療崩壊を防ぐために医療提供体制の維持に全力を注いだ。 |
世界医師会会長として (2017年10月~ 2018年10月) |
第68代会長として、日本の国民皆保険の成功体験を世界に発信。国連が掲げるUHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)のグローバルな推進役を担い、「誰もが安心して医療を受けられる社会」の実現に大きく貢献した。 |
共同代表理事 河内山 哲郎

経歴
1958年-1958年 | 山口県生まれ。 早稲田大学法学部卒業、松下政経塾塾入塾。 |
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1993年 | 当時最年少の34歳で山口県柳井市長に就任。 4期16年務める。 |
この間、全国市長会副会長、社会保障審議会委員 などを歴任し、高齢者医療制度の創設に参画する。 |
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2010年 | 社会保険診療報酬支払基金理事長に就任 |
2016年 | 退任後は、松下政経塾塾長、一般社団法人日本ユーザビリティ医療情報化推進協議会代表理事などを務める。 |
未来を創る奇跡






